フリーアナウンサー 小堺 翔太

自らの意思でスタートラインに立った。そのことに自信を持ち続ければ、困難を乗り越えられる。

大学時代は放送部で、アナウンスを担当。学園祭の司会や、世田谷のコミュニティFMで毎週1時間番組を制作したりしていました。でも、その頃はアナウンサー志望ではなかったんです。就職活動の時期になって、企業研究をしたのですがピンとくるものがなく、次第にアナウンサーになりたいという思いが高まりました。それなら基礎から学ぼうと思い、インターネットで学校を検索。東京アナウンスアカデミー(当時)と出逢いました。他の学校とも迷ったのですが、有名なアナウンサーの先輩方が卒業生で、ここなら充実した勉強ができると入学を決意。大学4年の1年間通いました。


放送部で多少の経験はありましたが、本格的な指導を受けるのは初めて。最初は緊張しました。また、この道を本気で目指す人たちが集まっているため教室にはピリッとした雰囲気が漂い、しっかりやらなければと身が引き締まりました。今も心に残っているのは、先生に「読み方はきれいだけれど、もっと相手に伝えようという気持ちで」と言われたこと。必死に滑舌の練習をしたり、注意点を原稿にメモして読んでいましたが、文字を追うのに一所懸命で、言葉を届けるべき相手を向いていなかったんです。それからは伝えようという意識を強く持つようになりました。授業以外にも、ニュース番組を録画してアナウンサーと同じようにしゃべったり、自習室で発声練習をするなど、地道に努力しましたね。学内オーディションに合格したのは大学4年生の3月。卒業寸前だったので、うれしさより安堵の方が大きかったのを覚えています。


今はレポーターやキャスターなどいろんなことをさせていただいていますが、まだまだ満足できるしゃべりができているとは言えません。本番前は下調べをするなど準備を怠らないようにしているほか、お手本としている方のレポートやアナウンスを見て勉強しています。学校の授業で仲間たちのしゃべりを客観的に見て、自分はこうしようと考えたり、うまい人の話し方を取り入れたりしていたことが、今の勉強法につながっていると思います。


ふだん心がけているのは、人と接する仕事なので、どんな相手でも嫌いにならないこと。もちろん出逢った方全員を好きになることは難しいですが、自分に壁があると相手にわかりますし、心を開いてもらえません。それは視聴者にも伝わってしまいます。滑舌がいいことも、発声がきれいなことも大事ですが、自分から心を開くこと。実は、私はもともと人見知り。それゆえに、同じような方を理解できるんです。まだ心を開いてもらえてない、緊張しているというのがよくわかる。だから、心を寄り添わせようと意識する。最近、自分の心のハードルが下がり、以前よりも相手の話を引き出せるようになってきていると感じています。


このパンフレットを読んでいる方には、この道を行こうと決心したことに、自信を持ち続けていただきたいですね。学ぶうちに、自分はダメだとか、いろいろ悩みが出てくるものです。でも、弱点があれば克服する努力をすればいいし、どうすればいいかは先生方が面と向かって教えてくださいます。私も実力が伸びずに心が揺らいだ時期がありましたが、就職活動をやめたのだからやるしかない、と自分に言い聞かせました。自らの意志でスタートラインに立ったことを思い出せば、きっと乗り越えられるはず。ぜひ願いをかなえてください。