DJ みんしる

「あなたは何を伝えたいの?」いつも私は、私にそう問いかけてみる。

私の場合、短大では情報通信工学を専攻していて、できればその分野の勉強を卒業後も続けたい気持ちがあって、留学の準備を進めていたんです。でも、結果的にそれがダメになってしまって、思いっきり落ち込んでいました。そんな時に、DJコンテストがあることを知って、以前からファンだった小林克也さんが審査員をされていたこともあって、軽い気持ちで応募してみたんです。

そこで運良く、決勝まで進むことができて、さらにラッキーなことに小林克也さんから声をかけていただいたんです。それがとても嬉しくて、今も強く印象に残っていますね。


自分としては、卒業後の進路をはっきり決めていたのですが、でも、最後まで何か自分の中で引っ掛かるものがあったんです。私が考えていた計画では、次のステップは留学だったわけですから、それがダメになった時点で勉強への意欲も薄れていったのかもしれません。それとDJコンテストの際に、小林克也さんが「キミはもともとDJ向きかもしれないね」となにげなく言われた言葉が、その後もずっと頭の中に残っていたんです。「じゃあ、やってみよう」と決心しました。その後、東京アナウンスアカデミー(当時)に入学しました。そこで基礎的なことを学んで、遅ればせながらもスタートラインに立てたといった感じです。ここで同じ目標を持つたくさんの友だちと出逢うことができました。それぞれが真剣に取り組んでいる姿勢は、私にとって本当に良い刺激になりましたね。


さて、東京アナウンスアカデミー(当時)を卒業して、事務所のオーディションを受けていくわけですが、所属事務所が決まると、今度は自分がプロのDJとしてやっていくためのオーディションがはじまるのです。つまり番組のオーディションに通って初めて、DJになれるのです。プロとしてやっていく以上、誰かの手助けを待っているようでは何もはじまりません。とにかくオーディションを乗り切れるかどうかが、プロのDJになれるかの分かれ道になるのです。


どんなオーディションでも、審査側から見ると、自分は大勢の中の一人でしかないわけです。私にしかない何かをどれだけアピールできるかで道が開けていくんです。特にDJに求められるのは、人の気持ちを引きつけるフリートークのセンスがポイントになってきます。最初のうちは、緊張するでしょうし、うまくいかないことも多いと思います。私の場合は、自分の感覚以上の話題を背伸びして探すよりも、“その時の自分が何を伝えたいか”を基本に考えるようにしてきました。そして音楽を聴いたり、雑誌を読んだり、自分の時間のなかで、何となく心に引っ掛かった情報や経験を少しずつストックしていくように心がけています。ふだんの生活の中で身近な誰かにその時の気持ちを伝えることを少し意識してみるだけで、トークの幅も自然と広がってくると思います。


まだDJ歴の浅い私ですが、番組を担当させていただくたびに、DJとしての私の個性って、制作スタッフやリスナーが一緒になって作り上げてくれるものなんだなと感じています。いろんな番組で、いろんな個性を持ったもう一人の自分に出逢える楽しさも、DJという仕事の魅力のひとつだと思いますね。みなさんも、これからDJになられた時に、きっとそう感じると思いますよ。