声優 大森 ゆき

日常に転がるお芝居のヒントを見逃さぬよう、日々の生活の中で常に芝居のことを考え、吸収し、学習し続けることを忘れないようにしております。

私が声優という仕事を意識し始めたのは、ポケットモンスターという作品に出会ったことがきっかけでした。小学生の当時、好きで視聴していたアニメ作品の中でもとりわけ大好きな作品であり、様々なポケモンはじめ出てくるキャラクターすべてが私にとって魅力的で、よく友達とポケモンの声真似をして遊んでいました。ポケモンを観始めた当初は声優に注目することは無かったのですが、ある日なんとなく劇場版のグッズに印刷されていたキャストを見ていた時に、主人公のサトシを演じていらっしゃる方が女性だということを知りました。幼い私にはそれがとても衝撃的で、同時にとても強い憧れを抱きました。もともと人前で話したり、人を楽しませたりすることが好きでしたし、「画面の中でなら、女性でありながらかっこいい少年にもなることができる。私も色々な役を演じてみたい!」と思ったことが、声優を目指したきっかけとなりました。


お仕事の内容は多岐にわたりますが、最近は主に、吹き替えや朗読を中心としたナレーションなどを中心に活動させていただいております。お仕事によって、多くの方々と共演させて頂いたり一人であったりとそれぞれですが、それぞれ毎回非常に刺激的で、楽しく演じさせて頂いております。最近ではオーディオブックという本の朗読のお仕事をさせていただくことが多く、書き言葉で書かれた内容を耳で聞く人にわかりやすく伝えることの難しさと、そこから想像する自分のイメージを目いっぱい表現することの楽しさを感じております。吹き替えに関しては、画面の中のキャラクターのお芝居を自らのフィルターを通し、共演者の方のお芝居を感じながら演じる面白さがあります。基本的にどのお仕事でも、事前に台本や原稿を頂いて準備してから現場で演じることが多いのですが、お仕事によっては当日に頂いたり、準備時間があまりなかったりと様々です。現場で修正がある事もほとんどなので、どんなお仕事も、一つのイメージに固執せず考え得る限りの演技プランを考え、指摘には柔軟に対応する瞬発力を持つことを心がけながら臨んでおります。

また私にとって、私のお芝居を聴いてくださった方からのお声は本当に励みになります。本来、人に楽しんでもらいたいという気持ちがあるので、色々な方から「良かった」「面白かった」というようなお声を頂けると、本当に声優になれて良かったと思います。私の芝居を聴いた人皆に楽しんでもらえる、そして芝居一本で身を立てることができる声優になること、これが私の今後の目標です。人に楽しんでもらえる、面白い芝居ができることは、多くの現場で必要とされる役者になる事にも繋がります。日常に転がるお芝居のヒントを見逃さぬよう、日々の生活の中で常に芝居のことを考え、吸収し、学習し続けることを忘れないようにしております。


私がまだ声優になることを目標としていた時は、声優になることがゴールに見えていたように思います。ところが、声優になることは声の仕事をするためのスタート地点に立つことに過ぎず、新人声優はそこからお仕事を獲得していかなければなりません。私も日々実感しておりますが、多くの声優が活動する業界の中、生き残っていくのは本当に大変なことです。自分の声の特徴は何か、得意な分野は何か、あるいは苦手とするのはどこなのか、自分で常に考え、立ち止まることはできません。そういった緊張感も含め、声優というお仕事の魅力があるのではないでしょうか。私もつい萎縮してしまいそうになりますが、そういった環境下でも思い切った表現をすることが重要です。考えることも大事で決して疎かにできませんが、考えたらとことんやってみるチャレンジ精神を持って頂ければ、と思います。