声優 小野 涼子

声優を始めたころは、とにかく自分自身が「楽しい」の気持ちばかりでした。辛いこともたくさんありましたが、それでもお仕事ができることがとにかく楽しくて楽しくて…。

もともと声を出すことが好きで、小学生のころから漠然と「将来は声を使った仕事に就きたい」と考えていました。具体的にどんな仕事がいいんだろうと考えていた頃に、流行していたアニメから声優という仕事があることを知りました。

見ている人を元気にさせてくれるアニメーションの世界。そしてその世界に登場するキャラクター達に命を吹き込んでいる声優さん。なんて素敵な仕事なのだろうと、私の目標は一気に固まりました。

しかし、私の場合はこの道を目指すことを中々両親に認めてもらえず、高校、短大、と、進路を選択する際に、声優の専門学校に通うことを許してもらえませんでした。

両親を説得できないまま就職が決まり、それならば自分で学費を稼いで学校に通おう!と決意。就職して一年間で学費を貯め、東京アナウンスアカデミーに通い始めました。

声優業界についての基礎知識が全くなかった私は、業界のいろはをすべてこちらで学ばせていただきました。また、生涯の恩師となる方と出会ったのもこの学校でした。

TAAは、私の声優としての原点となっています。


実際にお仕事をいただくようになって感じたのは、声優の仕事は想像していた以上に多岐に渡るのだなぁということでした。アニメ、外画(吹き替え)、ゲーム、歌、ナレーション、ラジオにイベント出演等々…。

昨今のネット社会の広がりも相まって、声優の仕事はどんどん広がっています。

私も歌やラジオのお仕事をいただくこともあるので、演技の勉強はもちろんですが、ボーカルレッスンに通ったり、トークに関しては他のラジオやテレビから勉強し、時事ネタなどもきちんと把握しておくように心がけています。

また、この仕事をするようになって特に強く感じたのは「健康管理」の大切さです。

折角お仕事をいただいても「調子が悪いのでできません」では話になりませんし、もう二度とチャンスが来なくなる可能性もあります。人間なので絶対に風邪をひかない、というのは難しいですが、それでも、いただいたお仕事を万全の状態でこなせるよう、日々喉のケアには特に気を付けるようにしています。


声優を始めたころは、とにかく自分自身が「楽しい」の気持ちばかりでした。辛いこともたくさんありましたが、それでもお仕事ができることがとにかく楽しくて楽しくて…。

しかし年数を重ね、最近は少し別のベクトルで考えることが多くなりました。

年を重ねたからこそできる役をやりたい。また、自分が楽しむばかりでなく、一人の大人として、もっと直接的に社会に貢献したい…と。

自分が親になったということも一因としてあるかもしれませんが、今後は、読み聞かせをしたり、何か子供の成長につながっていく作品に関わることができたらいいなと思っています。


これから声優を目指そうとしている皆様は、熱意に溢れ、真っ直ぐに努力されることと思います。

目標に向けて邁進することは本当に素晴らしいことですが、視野が狭くならないようにしておいてほしいなと思います。

アニメの声優をやりたいからアニメばかり見る。歌える声優になりたいからアニソンばかり聞く…。これでは、自分からアウトプットするものがいずれ枯渇してしまいます。

自分が目指す道とは一見関係のなさそうな事柄でも、驚くほど多くのヒントやひらめきに繋がります。

日常に溢れているたくさんのことから色んなものを吸収して、ご自身の感性の引き出しを増やしてください。

また、声優業界とは関係のないお友達、ご家族。そういった方々との繋がりも大切にし続けていただきたいです。この先プロになって悩みや困ったことがあった時、一番「自分」に立ち戻るためのヒントをくれるのはこういう方々だと思いますので。

その上で、ご自身の目標に向かって、真っ直ぐ進み続けていただきたいです。

役者の修業には終わりはありません。

私もまだまだ未熟者ですので、TAAで学んでいた頃の気持ちを忘れず、日々お芝居に真摯に向かい合っていきたいと思います。